物件探しをするときにおそらく利用するであろう、賃貸物件サイト。
しかし、そのサイト上で全ての賃貸物件が閲覧できるわけではないことをご存知でしょうか?
基本的に、賃貸物件サイトにはサイト内に掲載されていない「未公開物件」といった不動産会社のみが知っている物件が存在します。
もしあなたがネットで賃貸物件を探しているときに、検討している地域に物件自体が見つからなかったり、理想の物件がない場合、「未公開物件」として物件登録がされているケースがあるのです。
ですが未公開物件は、賃貸物件サイトなどで公開されているわけではないため、あると分かっていても自分で見つけることはできません。
では、どのように探し出せば良いのでしょうか?
そこで今回は、未公開物件を見たい!と思ったときの探し方やそのときの注意点、そして未公開物件を選ぶメリットなどもご紹介していきますので、ぜひ物件探しの参考にしてみてください。
SUUMOに掲載されていない「未公開物件」とは
未公開物件は来店時に紹介される
前述の通り、基本的に未公開物件の一般公開はされておらず、不動産会社のみが把握している物件のことであり、「非公開物件」と呼ばれることも。
この物件はたとえサイトに掲載がなくても不動産会社だけが閲覧できる専用のデータベース上には登録されており、来店時に担当者の方から紹介してもらうケースが非常に多いです。
ですので、「サイトで探しても気に入った物件がない・・・」という方は、近くの不動産会社に問い合わせをしてみると良いでしょう。
未公開物件は業者間で共有できる
不動産会社のほとんどが国土交通大臣から指定された不動産流通機構によって運営されているシステムである「REINS(レインズ)」や「ATBB(アットビービー)」などの専用のデータベースを利用して物件を紹介しています。
このシステムは一般の方は閲覧できないようになっているため、前述のとおり来店時に紹介されることが多いのです。
このシステムは不動産会社間で同じものを利用しているため、たとえ他の不動産会社が取り扱っている物件であったとしても紹介することができますので、「物件を取り扱っている専任の不動産会社のみで紹介してもらえる」ということはありませんのでご安心ください。
「完全未公開物件」も存在する
未公開物件であればどの不動産会社でも基本的には閲覧できるですが、一方でレインズなどのデータベースでも閲覧不可になってしまっている「完全未公開物件」も存在しています。
完全未公開物件とは、自社で管理している物件や大家さんの依頼により紹介可能な業者を指定しているなどの理由により、他の業者からの紹介ができず、特定の不動産会社に訪問して紹介してもらわなければなりません。
ですが、完全未公開物件を扱う不動産会社を見つけるための手段は一般の方にはなく、また実際には物件数はそこまで多くないため来店時にたまたま紹介してもらえる物件であると覚えておくと良いでしょう。
未公開物件の数はかなり少ない
意図的に未公開にするメリットは少ない
未公開物件として登録されている物件は完全未公開物件と同じであまり多くありません。
ですので、不動産会社に行っても紹介されない可能性の方が大いにあります。
未公開物件が少ない理由として、サイトに多くの物件が登録されていることにより、多くの人の目に触れて申し込みや契約数を増やすためといえるでしょう。
現代の物件探しは、多くの人がサイトを見て気になる物件や理想が叶う物件があるかどうかを見つけてから、その不動産会社に訪問したり問い合わせをします。
また、サイトの物件件数が多ければ多いほどサイトの信頼性が上がり、結果として多くのお客様に来店してもらえるのです。
このように、物件を未公開にしてわざわざ契約を遠ざけるようなことをするメリットが不動産会社にはないため、データベースなどへの登録タイミング次第で一時的に未公開物件になっている可能性はありますが、わざと未公開にしているケースは少ないといえるでしょう。
不動産屋から勧められるケースは少ない
また、実際に来店したり問い合わせたときに、実際に未公開物件を勧められたり紹介されるケースは非常に稀なのです。
というのも、お客様の中で未公開物件を紹介されて契約する割合は全体契約数の1〜2%ほどしかありません。
未公開物件は「人気のエリア」「価格が安い」「駅から近い」「アクセスが良い」といった希少価値がある優良物件ばかりではなく、以降でも少しお話ししますが、事情やトラブルの原因があって未公開にしているケースがあります。
そのため、入居後のトラブルや不動産会社への信用を落とさないためにも、基本的には一般公開されている物件から優先的に紹介していくのです。
部屋探しをしている方からしても、あらかじめ公開されている物件であったり自分で探して見つけた物件の方が、内見時に確認できたりきちんと情報が得られて安心できる、なんて方も多いのではないでしょうか?
このことから、未公開物件を紹介しないことによって、双方にメリットがあるといえるでしょう。
SUUMOとレインズでの物件数の比較
実際にレインズと賃貸物件サイト(SUUMO)で、未公開物件がどのくらいあるのかについて調査しました。
※調査は2022年11月に行ったため、変動している可能性があります。
なお、検索条件は以下の通りです。
エリア | 東京都世田谷区周辺 |
間取り | ワンルーム / 1K |
専有敷地面積 | 25㎡以上 |
家賃 | 6万円以下 |
その他条件 | バストイレ別 / 室内洗濯機置き場付き / エアコン付き 敷金礼金無し/管理費・共益費込み |
この条件をSUUMOとレインズそれぞれで絞って検索しました。
かなり条件的には厳しいのですが結果、SUUMOは180件、レインズは188件と、SUUMOに登録されていない未公開物件は8件と全体の1%にも満たないほどしかないことが証明されたのです。
SUUMOに掲載のない未公開物件の探し方
ここまでで未公開物件についてお話ししていきました。
では、実際に未公開物件をどのようにして探し出すことができるのでしょうか?
その方法をご紹介します。
ATBBやレインズを使う不動産屋で探す
手っ取り早い方法として、レインズやATBBを利用している不動産会社へ訪問し、担当の方と一緒に探すことです。
ですが、単に訪問するだけでは紹介してもらえなかったり検索すらしてもらえない可能性がありますので、来店予約時や実際に来店して物件を探しているときに「未公開物件があれば教えてほしい」と相談してみましょう。
なお、紹介してもらったときには未公開になっている理由なども詳しく聞いておくと安心です。
ちなみにレインズやATBBなどのデータベースを利用している不動産会社を知る方法としては、店頭に明記されていたり公式サイトで確認できることがあるので、あらかじめ確認しておいても良いかもしれません。
未公開物件を来店なしで紹介してもらえる方法
時間がなくて来店するのが難しい・・・
来店しても上手く伝えられるか不安・・・
そんな方のために、物件情報を来店なしでも紹介してくれる不動産会社があります。
不動産会社「イエプラ」はネット上の不動産会社。
そのため来店せずともLINEやチャット機能を利用して相談するだけで一般公開物件・未公開物件関係なく紹介してくれるのです。
スタッフに住みたいエリアや詳細条件などを伝えると、専用データベースであるATBBから部屋を探してくれます。
なお、相談時は手動返信となりますので、来店時と同様のサービスを受けることが可能です。
また、未公開物件も併せて紹介してくれるだけでなく、自分で探して気になった物件のURLや情報を送ると最新の空室情報を教えてくれたり、内見予約を取ることもできるため、非常に便利なサービスとなっています。
未公開物件が存在する5つの理由
掲載情報のうち1~2%ほどしか存在しない未公開物件ですが、ではそもそも未公開物件はなぜ存在するのでしょうか?
ここまでで軽くお話しした内容もありますが、5つの理由が挙げられますので、それぞれご紹介していきます。
まだ不動産会社がネット上に公開していない
少し前でもお話ししましたが、不動産会社が物件検索サイトにまだ上げていなかったり、一般公開にしていない場合は必然的に未公開物件とみなされるため、後々サイトに掲載されるのです。
物件情報は大家から依頼された不動産会社がATBBやレインズへ登録し、その情報を元にさらに他の不動産会社も含めてSUUMOやHOME’Sといった物件情報サイトに公開するといった流れになりますので、これがどこかで止まっていると必然的にサイトへの掲載は遅れます。
また、1~3月の引越しシーズンである繁忙期は未公開物件を紹介してもらいやすくなる反面、スタッフの手が回らず掲載作業が遅れることもあるため、未公開期間や件数が増えてしまうのです。
ほとんどの場合がこの理由なのですが、タイミング次第では来店時に紹介してもらえることもあるため、紹介してもらえたらラッキーくらいに思っておくと良いでしょう。
好条件の物件ですぐに借り手を見つけられる
不動産会社によっては人気のエリアや好条件な物件といった人気のある物件はあえてサイトに掲載していないことも。
理由としては、他の不動産会社での問い合わせや契約などを防ぐためです。
不動産会社の利益は賃貸契約時に発生する「仲介手数料」であるため、すぐに契約に繋がるような人気の物件を他の不動産会社に取られてしまうことを避けたいため、来店した人にしか紹介できないようにします。
ですが、本当に良い物件なのかは自分次第です。
不動産会社や担当者によっては早く契約させたいため条件と合わない物件でも特別感を出して紹介される可能性も十分にありますので、他の物件と比較検討して自分の希望に合った物件を選ぶようにしましょう。
物件が未完成
まだ物件が建設途中であったりリノベーションしている場合は、ある程度状態が落ち着いたり物件情報が揃うまでは未公開設定にしていることがあります。
未完成だと部屋や間取り、外観などの写真が見られなかったり、間取り図も仮情報でしか掲載できません。
また一般公開したとしても内見ができないため、「聞いていたのと違う」「間取りが掲載時から変わっている」などのトラブルにならない対策として掲載しないのです。
もちろん不動産会社に来店したときに情報を聞くことができたり、タイミングによってはある程度完成した段階の部屋の様子だったら内見できるといった可能性もあります。
ですので、自分の希望条件に当てはまるような物件だったら不動産会社の方に詳しく聞いてみると良いかもしれません。
借り手がつかない物件
一部人気な物件を非公開にするのと同様、入居希望者が全然集まらない物件は一般公開を避けることがあります。
これは契約に繋がらないので、掲載していても意味がないため、そして同じ物件を掲載し続けているとサイトの信用度にも影響する可能性があるためです。
また、物件情報サイトへの掲載には掲載費が発生します。
そのため契約される見込みがない物件を掲載し続けても無駄な費用が発生するだけで意味がないため、未公開にしている可能性があるのです。
万が一紹介してもらったとしても、悪条件であったり事故物件といった事情がある場合がありますので、しっかり確認するようにしましょう。
一般媒介契約でレインズへの登録義務がない
一般媒介契約とは、複数の不動産会社へ同時に媒介(仲介)依頼をすることができる契約の1つであり、大家さんに人気な契約方法となっています。
そしてこの契約の特徴として、一般媒介での契約だとレインズへの物件登録をしなくても良いということが挙げられます。
これまでお伝えしているとおり、レインズなどに掲載がない物件は他の不動産会社が情報を得ることは不可能となりますので、決まった不動産会社でしか紹介がされないのです。
大家さんと不動産会社の間で行われる契約方法は一般媒介契約以外に「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」があります。
専任媒介契約は募集依頼を1社にしかしない契約であり、貸主(大家さん)自身が入居者を見つけた場合には不動産会社の仲介なしで賃貸契約を結ぶことができる契約方法であり、レインズへの登録期限は7日以内です。
専属専任媒介契約も同様で1社にしか募集依頼をしない契約なのですが、レインズへの登録期限が5日以内と、専任媒介契約よりも短くなります。
未公開物件のメリット
では、未公開物件のメリットは何でしょうか?
考えられることとして3つ挙げられますので、それぞれ解説していきます。
いち早く物件情報を知れる
1番のメリットとして挙げられるのが、誰よりも早く情報を知ることができるということ。
部屋の内見ができるタイミングであればなおさら良く、気になっていた他の物件との比較検討ができるため、自分の希望条件に合う部屋を選ぶことができるのです。
特に新築物件やリノベーション中の物件は未公開にしている場合が非常に多いため、他に借りてが付く前に契約できる可能性が非常に高くなります。
競争率が低い
一般公開されている物件は誰でも閲覧ができるため、ライバルが多くて時間差で契約が埋まってしまうことも・・・。
ですが未公開物件は一般公開されているよりもライバルが減ります。
というのも、一般の人が物件情報を知ることが少なかったり、紹介できる不動産会社が少ないこともあるため、「先に契約されてしまった」「申し込みをされてしまった」といったことが起こりにくくなるのです。
ですが、もちろんライバルが絶対にいないとは限りませんので、決断は早めにすることをオススメします。
繁忙期でも部屋を探しやすい
たとえ1~3月の繁忙期だったとしても、未公開物件だと他の人に取られてしまうことは少ないです。
また、繁忙期は退去者も多いため未公開物件が増える時期でもあるため、その点においてもねらい目だといえるでしょう。
内見してから考えたい、まだ時間に余裕がある、焦って決めたくないといった方はゆっくり部屋探しすると、繁忙期後にまだ未公開物件が残っていたなんてこともあるため、慎重に探してみてください。
掘り出し物件がある
不動産会社によっては「駅から近い」「築年数が浅い(新築)」「家賃が安い」といった好条件な物件は、応募者や問い合わせが殺到しない対策として未公開にしていることがほとんど。
また、サイトに掲載したり、来店時に紹介すればすぐに契約が決まるため、他の不動産会社で契約されることを防ぐためにも未公開にしていることもあります。
不動産会社へ直接来店して相談すれば、ネット掲載前の新しい物件情報を教えてもらえることがあり、元々気になっていた物件と比較検討できたり、より多くの選択肢の中から選ぶことができるため、オススメです。
未公開物件の注意点
未公開物件には3つのメリットがありますが、それを踏まえた上で気をつけなければならないこともあります。
ここでは3つご紹介しますので、物件探しのときに意識するようにしましょう。
条件に合う物件を見つけにくい
これまでお話ししているとおり、未公開物件は件数が少なく、不動産会社で直接紹介してもらわないと見つけることができません。
また、万が一未公開物件があったとしても自分の希望条件に沿った物件でないことも十分にあります。
未公開物件のほとんどが一般公開予定の物件です。
本当に好条件の物件でない限りはそこまで価値の高い物件でない可能性があるため、「未公開物件です!」と強く押されたり、しつこくオススメされるようであればその不動産会社で契約するのは避けたほうが良いかもしれません。
事故物件やトラブルが多い可能性がある
未公開物件の中には隣人トラブルが多い物件であったり、事故物件であったりと何か問題を抱えている可能性もあります。
その1番の理由はシンプルで、一般公開でサイトに掲載しても契約者が現れる可能性が低いため、無駄になってしまうため。
他にも、何らかの理由で家賃を低く設定してあり、他の入居者や周辺住民に知られてトラブルになることを防ぐためなどの理由から未公開にしていることもあります。
なお、「告示事項あり」と物件情報に記載がある場合は注意してください。
告示事項とは事故物件である場合や部屋の一部に欠陥部分があるなどの何か問題がある物件だということ。
不動産会社は契約前に入居希望者に必ず伝えなければならないのですが、悪徳業者は入居者を確保するために伝えずに契約させることもあります。
少しでも怪しいと感じたり不安なときには「大島てる」で調べて出てくる事故物件などの公示されているサイトをチェックしましょう。
詳細に書かれているため、自分が検討している物件やマンション・アパート自体が事故物件でないか確認できます。
相場よりも価格が高く設定されている物件がある
未公開にすることで家賃相場が他物件と比較されにくくなることから、周辺物件よりも家賃が高く設定されていることがあるのです。
もし紹介された未公開物件の家賃が高いと思ったら、ネットで家賃相場を調べてみると良いでしょう。
SUUMOやHOME’Sなどでも調べることができるのでオススメです。
また、探していて近くに似たような間取りや条件の物件があったら、その物件を引き合いに交渉してみても良いでしょう。
家賃設定は立地や間取り、設備といった面から設定されるため、似た物件と金額が違うと分かると家賃を下げてくれる可能性があります。
終わりに
いかがでしたか?
今回は「未公開物件」について詳しく解説しました。
未公開物件は一般公開物件でまだ掲載作業が完了していないものであることがほとんどですので、誰よりも先に知ることができるのは最大のメリットだといえるでしょう。
ですが、未公開物件を紹介してもらえるかは、タイミングや不動産会社によって異なりますし、いきなり来店して「教えてほしい」と言われたとしても教えてくれないことの方が多いため、あくまで「あったらラッキー」くらいの気持ちでこだわりすぎずに探すと良いでしょう。
また、残念ながらあなたに契約させるために告示事項を説明しなかったり、未公開物件であることを推してくるような悪徳業者もいます。
もちろん優良な不動産会社もありますので全てを疑えとはいいませんが、自分が快適に住める家は自分でしっかりと判断して決めるようにしましょう。
もし不安であれば親や恋人、友人などと一緒に不動産会社に訪問すると、違う観点からアドバイスをもらえたり、悪徳業者もあまり強く出られないこともありますのでオススメです。
今回のお話しが、あなたの部屋探しの参考になったら幸いです。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] […]