賃貸の違約金とは普段あまり耳にする言葉ではないので、実際にわからないことが多いですよね。
賃貸の違約金は、契約する際の条件に違反すると支払わなければならない費用のことです。
相場は家賃のひと月分と言われていますが、物件によって異なるので、中にはそれ以上請求されてしまうこともあります。
今回は、いわゆる大手と言われる不動産会社に7年間勤務をし、現在も賃貸会社で働きこの業界に詳しい筆者が、違約金に関してご紹介していきたいと思います。
- 1.賃貸の違約金が発生してしまう理由と見解
- 2. 違約金が生じやすい10のパターン
この内容を把握しておけば、賃貸の違約金はいつ、どのような時に、何の為に支払うお金なのか、などの知識を身につけることができるので、本来払わなくても良い出費を抑えることができるでしょう。
賃貸の違約金が発生してしまう理由と見解
賃貸の違約金が発生してしまう理由としては、物件に住むにあたって交わす契約に違反をしてしまう場合です。
一般的に違約金の金額は「賃料のひと月分」が請求されるとされていて、主に「途中解約」が多いです。
これについて詳しく解説をしていきましょう。
請求される違約金の多くは「短期解約違約金」
違約金の中でも「短期解約違約金(たんきかいやくいやくきん)」とは、短期間で解約してしまう場合であり、貸主が決めた契約期間よりも前に解約する場合に発生します。
この場合の違約金は、一般的に「賃料のひと月分」というのが多いです。
貸主側の都合の場合は例外ですが、あなたの都合で解約をする際には、必ずこの違約金を払わなければなりません。
家賃の設定としては、2年契約の場合2年間住んでもらうことを想定の上での賃料なため、これに満たないと採算が合わなくなってしまいます。
物件によっては、“2年間住んでもらえれば少しの利益が出ればいい”と想定して家賃を安めに設定していることもあります。
短期解約違約金が支払われることによって、満たない部分の採算が取れるようにできているのです。
物件によって違いますが、一般的には1年未満の解約の場合は「賃料のひと月分」で、それよりも短い解約の場合にはそれ以上などとされています。
条件が厳しいと、「2年未満で1ヶ月」と定められていることもあるため、物件の契約をこれから考えている人は、必ず事前に条件を確認しましょう。
ちなみに、これらのことは不動産会社で物件を契約した際に、借り手に説明することが法律で義務化されています。
契約書を見れば契約条件が全て確認できる
賃貸を契約した時に、不動産会社から本人控えとしてもらう「賃貸借契約書(ちんたいしゃくけいやくしょ)」を見ると、契約条件を全て確認することができます。
契約書の中には「甲・乙」という記載がありますが、「甲は貸主」、「乙は契約者」ということを意味します。
契約書を紛失してしまった場合は、管理会社へ連絡をしてその旨を伝え、違約金の条件を確認し、すぐに契約書のコピーを送ってもらうよう手続きをとりましょう。
契約書を確認できないことを弄び、無駄なお金が請求されてしまう悪徳な不動産会社もあるので注意が必要です。
契約書の控えは、契約から5年以内は必ず保管することが決められているので安心して大丈夫です。
違約金は交渉することで減額することはできるのか?
違約金について交渉することは可能であると言えますが、契約の際の条件は納得の上で借りていることが前提なので、成功することはまず厳しいです。
病気や怪我などで止むを得ない事情があり、融通がきいている貸主にあたれば、減額や免額してくれる可能性もあるでしょう。
そのため、止むを得ない事情で解約しなければならない場合には、ダメ元でも相談してみましょう。
違約金の支払いは拒否できるのか?
解約するにあたって正当な理由があれば、違約金の支払いを拒否することは一応可能と言えますが、そうでない場合は不動産会社から催促され続けます。
あなたの都合で解約する場合には、きちんと支払う必要があります。
賃貸を契約する時に、保証人の代わりをしてくれる保証会社と契約をしている場合は、逃れることはできません。
保証会社は違約金を立て替えてくれるため、この時に違約金の支払いを拒否することは不可能と言えるでしょう。
この保証会社の中には、借金の取り立てのように催促してくる会社もあるので注意が必要です。
トラブルによる解約でも違約金は発生するのか?
隣人の騒音やトラブルなどが原因で、解約せざるを得ない正当な理由がある場合には違約金が免除されることがあります。
しかし、貸主が注意を促しているにも関わらず改善されない場合には、それは難しいでしょう。
また、マンションの修繕により日当たりが悪くなった場合は、事前に説明をされてなければ、免除される可能性が高くなるでしょう。
大規模な修繕を予定されているのであれば、前もって借り手に伝える義務があるのです。
口頭のみの場合はトラブルに発展しやすいため、契約書には必ず書かれているはずなので確認してみましょう。
さらに、排水溝から臭い匂いがする、窓が左右に動かないなどのように部屋の設備に問題がある場合、明らかな設備不良であれば貸主に過失があるため、誰に非があるのかを明らかにしましょう。
違約金が生じやすい10のパターン
違約金を支払うケースは短期解約だけと思われるかもしれませんが、それだけとは限りません。
賃貸を契約する際に、契約書の全てに目を通す人は多くはないかと思いますが、これから解説していくパターンは違約金が発生する可能性があることを覚えておくとよいでしょう。
①申し込んだあとにあなたの都合でキャンセルしたとき
物件の申し込みをしたあとに、一方的なあなたの都合でキャンセルしたときには、物件によっては違約金を請求する対象となります。
契約以前に違約金が発生することに違和感を感じる人もいるかもしれませんが、入居の際に記入する申込書に違約金が発生する注意書きが書かれていることもあるのです。
これは原則拒否することが可能で、不動産業界の決まりとして契約前の費用は請求できないのです。
しかし、書類に印鑑を押してしまうと、不動産会社の良いように言いくるめられてしまうことがあるので気をつけましょう。
もしそうなってしまった場合には、「全国宅地建物取引業協会連合会」や「全日本不動産協会」などの最寄りの不動産協会へ相談し、不動産会社の名前や請求に至った経緯などを伝えると解決できることが多いです。
②契約直後にキャンセルをしたとき
不動産会社で契約した直後、すなわち入居する前のキャンセルも、一般的に違約金として賃金1ヶ月分が請求されてしまいます。
例え入居前であっても、契約の時点で署名をして印鑑を押せば契約成立となるので、解約する場合と同じ扱いとなります。
このような内容は、「賃貸借期間の開始日までに、乙が本契約を解約したときは、乙は直ちに違約金、管理費等相当額を甲に支払うものとする」と契約書に記載されているため注意が必要です。
③礼金が0の物件を契約したとき
礼金とは、借主が部屋を借りるお礼として貸主へ支払うお金のことですが、礼金が0の物件は短期解約違約金が条件についてくることが殆どです。
貸主への報酬を支払わなくて良いため、借主にとっては負担が少ないように見えますが、予定に反して短期間での解約となってしまった場合には、実質見返りとして違約金が発生するのです。
④フリーレントの賃貸物件を契約したとき
フリーレントとは、一定期間の家賃が無料になることを指しますが、礼金と同様に借主の負担が少なくなる見返りがついてきます。
短期解約違約金に加えて、フリーレントへの違約金が定められている場合には、もし短期間で解約することになった場合、これらの合計の違約金が発生する可能性があることに注意が必要です。
また、紛らわしいことに、短期解約の違約金の発生が1年未満として条件付けられていたとしても、フリーレントの違約金発生が2年未満として条件づけられているケースもあります。
⑤学生限定の物件を契約したとき
学生に限定した物件は、一般的に2年あるいは4年住み続けるようになっているので、多くはその分家賃設定を低めにして募集をしています。
先述したとおり、貸主は定めた期間に住んでもらうことを想定して、家賃を考えているため、その期間住んでもらえないと採算が合わなくなってしまうのです。
よって、それを補填するために、学生限定物件 は家賃が他と比べて安い代わりに違約金が設定されていることが多いです。
⑥何度も家賃滞納を繰り返すとき
一般的に、契約書の条件では「家賃滞納が3ヶ月分以上に達した場合は契約を解除できる」という内容になっていますが、解除ではなく違約金が発生する場合もあります。
いずれにせよ、契約を解除されるか違約金を支払うかの選択になるので、家賃を滞納し続けている場合には契約書の条件に従いましょう。
⑦ペット禁止の物件でペットを飼ったとき
ペットが禁止とされている物件でペットを飼っていることがバレた場合には、違約金を請求される可能性は高いです。
ペットを絶対に禁止としている物件では、高い違約金が設定されていることもあり、バレてしまった場合には請求通りに支払わなければならないので気をつけましょう。
また、楽器も同様で、楽器不可の物件で楽器を演奏してしまった場合にも契約違反となります。
⑧何度もトラブルが起きるとき
近隣住民とのトラブルが何度も繰り返し起き、貸主から注意されても改善されない場合には、違約金が発生することがあります。
違約金にとどまらず、契約解除で強制退去となる可能性もあるので、周囲のことも考えて生活をしましょう。
⑨単身者専用の物件で同棲をしたとき
単身者専用の物件で、同棲やルームシェアをしていることがバレてしまった場合には、違約金が発生することがあります。
単にその日だけ遊びに来ていたと言い逃れることも可能かもしませんが、2人で住んでいることが明らかな場合は、支払いに応じましょう。
また、単身者専用の物件のため、違約金を払っても住み続けること自体厳しくなるため、退去せざる終えない結果となることが多いです。
この他にも、住宅専用の物件を事務所として利用することも違反であり、バレた場合には違約金が発生することがあります。
⑩無断で他人へ部屋を貸したとき
借主が従来の賃貸借契約を結びながら、無断で第三者へ貸すことを「転貸」といい、これは明らかな契約違反となり、 違約金発生だけでなく法律的にも違反行為であり損害賠償を請求される恐れもあります。
バレなければ良いと安易に考える人もいるかもしれませんが、かなりのリスクを伴う行為であることを承知の上で、できればやめた方がいいでしょう。
まとめ
賃貸の違約金についてご紹介をしてきましたが、いかがでしたか?
違約金で請求されることが多いのは、短期解約の「賃料1ヶ月分」です。
また、解約の他にも違約金が生じる可能性のあるパターンはいくつかありますので覚えておいた方がよいでしょう。
普通に生活をしていても他人に迷惑をかけてしまうような生活も起こり得ますので、日々の生活を見直すきっかけにもなったのではないでしょうか。
賃貸物件とは、住むのは自分自身ですが飽くまでも貸主や隣人がいて生活をしていることを忘れないようにしましょう。
最後に、違約金は物件によって期間や金額は異なるので、物件を契約する際には必ず契約書に目を通して確認するようにしましょう。
皆さんが違約金の発生なしに賃貸物件で快適に過ごせることを願っております。
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