賃貸物件の失敗しない選び方は、表面上の賃貸条件と同様に実生活での仕様感を想像することが大切です。
周辺地域や賃貸物件内の環境を判断しやすいように確認すべきチェックポイントを決めておけば、一定の視点で公平な判断ができるため内見が成功しやすくなります。
賃貸物件選び|予算やエリアや環境面などの方向性を決める
効率的な賃貸物件の選び方は、闇雲に手をつけるのではなくまずは賃貸物件探しの大まかな方向性を決めることが成功のカギです。
不動産ポータルサイトを使う際に沿線やエリアを絞り込むための条件設定をするイメージです。
大まかな方向性を決めるおもな条件は下記のとおりです。
- まずは家賃などの予算を設定することから
- 電車の沿線や駅などエリアの候補を決める
- 賃貸物件周辺の人通りや交通量を考える
- 自分の生活に合った買物の利便性を考える
それぞれの条件について、このあと詳しく解説します。
まずは家賃などの予算を設定することから
一般的には、賃貸物件の家賃は手取り月収の30%以下が適当とされています。しかしこれはあくまで目安であり、毎月の固定費用の金額が大きい方はさらに抑える必要があるでしょう。
また、賃貸借契約時には初期費用として家賃の4〜6か月分が要ります。場合により契約時にさらに清掃消毒費やカギ交換費、契約更新時には賃貸借契約・火災保険・賃貸保証料などが必要な場合があります。
一人で部屋を探すと夢が膨らんで予算以上の物件を借りてしまう恐れがあるため、経験者にアドバイスをもらうなど別視点が持っておくと良いでしょう。
電車の沿線や駅などエリアの候補を決める
単身者なら、家から学校や職場までの乗車時間や乗り換え本数を考えて路線や駅に目星をつけると良いでしょう。快速が止まる駅とそれ以外の駅では、毎日の電車の本数や乗り換えの手間が異なるため重要な要素です。
大都市圏では徒歩10分を超えて13分くらいまでは許容範囲とされます。駅に駐輪場があるなら普段は自転車で駅まで向かい、天候が悪い日はバスやタクシーを使うという選択肢も持っておきましょう。
もしも家賃を抑えたい場合には、人気路線や人気駅を外すだけでその効果が高くなります。
賃貸物件周辺の人通りや交通量を考える
人や車の量は騒音や治安に影響します。たとえば大通り沿いのマンションは夜まで車の音がして排気ガスも気になりますが、大通り特有の人や車の往来や外灯によって治安が維持される場合があります。
他方、住宅街は交通量が少なく静かで住環境は良い反面、人がいないことがデメリットになるケースもあるため、帰宅時間が遅く不安な場合は交通量がある程度ある場所を選びましょう。
自分の生活に合った買物の利便性を考える
単身者がメインで使う店は、コンビニ・スーパー・ドラッグストアと飲食店にほぼ限定されます。最近はアプリ決済が多いので銀行で頻繁にお金を出し入れする機会は減りましたので、銀行が近くになくてもコンビニで代用すれば問題ないでしょう。
ただしすべてが徒歩圏内に揃う立地は難しいため、コンビニと飲食店が徒歩圏内でスーパーとドラッグストアが自転車圏内などを許容すれば探せる範囲は広くなります。
また、単身者であれば公園や病院の利便性はそれほど考慮しなくてもよいでしょう。
賃貸物件選び|賃貸物件の共用部や部屋の中の環境を決める
予算やエリアや環境面などの大まかな方向性が決まれば、次はその範囲内にある賃貸物件の個別の環境で絞り込みます。
このときに、こだわりが強すぎて条件が譲れない場合には賃貸物件の絞り込みが難航します。条件には必ず優先順位をつけて、支障が少ない条件は付いていればラッキーというスタンスにしましょう。
賃貸物件ごとの環境は、共用部(入居者が共同で使う場所)と専有部(入居者が単独で使う場所)の2つについて分けて考えます。
共用部の環境(入居者が共同で使う場所)に求める条件
共用部とは、管理費や共益費などの費用で運営されている全入居者へ向けた環境やサービスです。
共用部の環境は下記の表のように分類できますので、注意事項と併せて見ていきましょう。
共用部の環境
構造 | 木造・鉄骨造(S)・鉄筋コンクリート(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート(SRC) 右のほうが壁が厚い・防音性や防火性が高い・高層化しやすい・家賃が高い |
オートロック | 不特定多数の来訪者をマンションの敷地に入れない。 年齢性別を問わず人気が高い・借家/ハイツ/アパートでは見かけない |
エレべーター | 5階以上は設置義務あり・設置物件は管理費が高い |
ゴミ置き場 | 清掃あり・施錠できる扉あり・監視カメラ設置・24時間ゴミに捨て可能が人気 ゴミ置き場の清潔感で入居者のモラルが分かる |
駐輪場 | 不法駐輪や残置自転車の管理状況で入居者のモラルが分かる |
賃貸物件の構造は隣り合わせた部屋の音に関係するため、気になる場合には鉄筋コンクリートか鉄骨鉄筋コンクリートを選びましょう。
オートロックやエレベーターはマンション構造の賃貸物件ならもはや必須の設備です。
ゴミ置き場の問題は、部外者の不法投棄や入居者のゴミ出しルール無視の投棄です。監視カメラや施錠と定期巡回管理があればマナーは向上します。
その賃貸物件のモラルは、ゴミ置き場の清潔感・駐輪場の放置自転車・集合ポストのチラシ散乱状況を見ればおおむね判断できます。
専有部の環境(入居者が単独で使う場所)に求める条件
専有部とは、家賃の対価となる入居者が単独で使用できる場所です。
専有部の環境はさらに下記の表のように分類されますので、個別のチェックポイントを見ていきましょう。
部屋の規模
間取り | 居住人数・荷物の量・居住スペースを分ける・仕事スペースを持つ |
広さ | 部屋にいる時間が長い・家具が多い・ときどき人が集まる |
収納 | 衣類・クツ・バッグ・アクセサリー・スポーツ用品・アウトドア用品 |
たとえば、単身者が求める間取りのボリュームゾーンは1R・1K・1DK・1LDKくらいです。
間取りは、家賃の額・掃除の労力・インテリアの量などコストや手間に直結しますので、本当にその間取りが必要なのかを冷静に考える必要があります。
部屋数を考える目安としては、居住スペースと水回り(バス・トイレ・キッチン)を分ける、もしくは居住スペースと寝室や仕事スペースを分ける必要があるのかを考慮すると良いでしょう。
ちなみに、クローゼットの奥行きが55センチあるかどうかがは重要です。男性の肩幅は50センチ前後であり衣服の収納力や湿気の対流に影響するからです。
ベランダの向き
東 | 朝明るく目覚めやすい・午前中に日が当たるため洗濯ものは朝早めに干す |
西 | 西日で部屋が暑い・昼から日が当たるため洗濯ものは朝遅く干しても良い |
南 | 日照のバランスが良く人気や家賃が高い・商業地域は日当たりが悪いことも |
北 | 人気は低い・カビ防止には換気が重要・終日明るさが変わらない |
ベランダの向きは日照時間に大きく影響するものの、設備によって影響を受けない場合もあります。
たとえば、最近ではドラム式洗濯機の低価格化で単身者が気軽に購入できるようになったため、ベランダの向きが気にならない方もいます。
キッチン
様式 | ガス | 火力は強いが夏場は暑くなる・プロパンガスは料金が高い |
IH | 火事の心配がない・停電時に使えない・専用の調理器具が要る | |
環境 | 別部屋 | 匂いや熱が居住スペースへ流れない |
冷蔵庫置き場 | 冷蔵庫スペースのサイズによって冷蔵庫の機種が限定される |
キッチン周りの環境は自炊中心の方なら気になる条件ですが、お湯を沸かす程度しか使わない方はIHが手軽で良いでしょう。
インターネット環境
固定 | 入居や退去時の手続きが簡単で早い |
自前 | 速度やサービス内容から自分で選べる・申し込みから開始まで時間がかかる |
インターネット環境は、全年齢層が賃貸物件探しでもっとも重要視する条件のひとつになりました。
もしも自分で個別に頼む場合は申し込みから利用開始まで2〜3週間はかかります。春の繁忙期なら工事業者が手配できずさらに長期間待つ傾向にあります。
その場合は、開設されるまでスマートフォンの通信プランを事前に上位プランへ上げて対応するか、いったんマンション指定のサービスを利用して途中で切り替えるなどが必要です。
アンケートからみる人気の賃貸条件とは
一人暮らしで最低限必要な間取りや広さについてのこのようなアンケート結果があります。
現在の住まい(平均) | 最低限必要と考える(平均) | |
間取り | 1K | 1K |
延床面積 | 23.7㎡ | 23.5㎡ |
築年数 | 14.4年 | 18.6年 |
駅徒歩 | 13.3分 | 13.9分 |
通勤時間 | 31.4分 | 38.0分 |
また、入居者に人気の設備についてのこのようなアンケート結果があります。
今回順位 | 前回順位 | 住宅設備(単身者向き) |
---|---|---|
1位 | 1位 | インターネット無料 |
2位 | 3位 | エントランスのオートロック |
3位 | 4位 | 高速インターネット(1Gbps以上) |
4位 | 2位 | 宅配ボックス |
5位 | 5位 | 浴室換気乾燥機 |
6位 | 6位 | 独立洗面台 |
7位 | 7位 | システムキッチン |
7位 | 8位 | 24時間利用可能ゴミ置き場 |
7位 | 9位 | 防犯カメラ |
10位 | 13位 | 追い焚き機能 |
「対面非接触」と「おうち時間」という社会的情勢が、人気設備の傾向や順位に反映されているようです。
間違った賃貸物件の探し方|失敗例や回避方法とは
賃貸物件の選び方は、失敗例や回避方法を事前に知ることで成功確率を上げられます。
予算を超える家賃の賃貸物件を借りてしまった
夢を描いて家賃が高いのに無理をして借りたものの、いろいろと節約をしないと生活が苦しくなることはよくあります。
仕事が忙しく家は寝るだけなので、広い間取りや高グレードの設備は要らなかったという失敗もあります。もしも家賃の安さを優先するなら、春の異動シーズンを過ぎて家賃交渉がしやすくなってから探すことをおすすめします。
また、いったん更新料を払ってから次を探しはじめたとか、動き出しが遅く優良物件がなくなっていたとかなどの失敗は、そもそも探す時期の誤りが原因といえるでしょう。
騒音や治安が悪い環境だと住んでから気づいた
昼間は人がいる会社や学校や公園も夜になると往来が途絶えます。このように昼と夜で街の様子が変わったり、地図では分からない高低差や長い信号機や踏切があって想像以上に時間がかかったりと、住んでから環境を実感することがあります。
また、マンションの共用部の汚れや駐輪場の乱れや植栽の手入れ不足など、入居者モラルや管理レベルに気づくチャンスを見逃してしまった失敗もあります。しかし、不動産会社が特定の地域や賃貸物件を確定的に治安が悪いとは言いません。
最終的には自分の感覚で判断するしかありませんが、内見時の違和感は当たっていることが多いので不審に思ったら慎重になりましょう。
内見時の採寸や物件比較のための準備不足
持っているベッドやソファーやチェストを採寸しておかなかったために起こる失敗もあります。いびつな形状の部屋や張り出した柱があるなら、干渉して思うように配置できないかも知れませんので、手持ちの家具の採寸メモとメジャーは常に持っておきましょう。
また、コンセントの数が少なく位置が扉の開閉や家具と重なって使いづらい場合があります。昨今では、パソコンやモバイル端末やその周辺機器だけでかなりの数のコンセントを必要とします。使うたびに抜き差しするのは面倒ですから、こだわりすぎない程度に気にかけておきましょう
まとめ
失敗しない賃貸物件の選び方は、まずは動き出しを早くすることです。
とくに電車の沿線と駅の絞り込みや家賃相場の調査は時間がかかるため、探しはじめてから調べたのでは浅くて中途半端になりがちです。普段からインターネットで調べてピックアップしておきましょう。
それでも地域情報を深く調べるのは難しいので、信頼できる不動産会社の担当者を見つけて濃度の高いアドバイスをもらうようにしましょう。
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